JGAP指導員資格取得の研修の中で、「時折、『GAPに取組めば儲かるの?』というような質問を受ける」と講師がおっしゃっていた記憶があります。
以前、SNSでもそのような投稿を見かけました。
この質問を、別の業界に替えてみると、こんな感じでしょうか?
● 食品製造業で、
「工場や作業の中で食品衛生管理に取組めば、儲かるの?」
● 製造業で、
「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底すれば、儲かるの?」
食品衛生管理や5Sに取組むことと、儲かることは別のこと。
たまたま
「衛生管理や整理整頓に努めていたら、作業場が使いやすくなったり、習慣になっていたことの中に無駄が含まれていたことが見つかったりして、それらを改善した結果、経費が抑えられ、利益が増えた」
ということはあるかもしれません。
あるいは
「取引先や、見学者から衛生管理や工場が清潔であることが評価された」
ことで、契約交渉にプラスに働くこともあるかもしれません。
逆に考えてみたらどうなるでしょうか?
例えば、
「評判の食品を作っている食品会社の工場を見に行ったら、とても衛生的とは思えない工場だった」
「くわえタバコで作業をしていた」
「厨房にハエが何匹も飛んでいるのが気になった。よく見たら、フタの開いたゴミ箱があった」
・・・・。
消費者は、こういう事業者を支持し続けるでしょうか?
GAPも食品衛生管理や5Sと同じだと私は思います。
GAPは、儲けにつながるかどうかは別にして、現代の事業への取り組み方として重要な内容を含んでいるのです。
GAPは安全な農産物を作るためのルールを、農場で働く人たちが作り実践していく仕組みです。
そのルールの中には、農場の人々が安心して働き続けるための項目も入ります。
2020年10月5日付の日本農業新聞のHPに、
という、北海道・JAきたみらい の取組みを紹介する記事がありました。
この記事の中で、JAきたみらい が 農作業事故0(ゼロ)に向けてGAPに取組むことを呼びかけていることが書かれています。
GAPは、農産物と人の安全をはかる取組なのです。