共同利用加工施設の利用者もHACCP

吊るされた干し柿のイラスト

市町村や農協、農事組合などが設置した、地域住民や組合員が利用できる加工施設。

ここで、味噌や漬物、お菓子などを作って販売している農家や農家グループがいらっしゃるかと思います。

すでに御存知だと思いますが、

今年、令和3年6月1日から完全実施される改正食品衛生法によって

こうした共同利用加工施設を利用して、食品を加工・製造・販売している農家さんなども

HACCPに基づいた衛生管理をしなければなりません。

実は、昨年の6月に施行されており、現在(令和3年3月)は猶予期間にあたるだけなので、本当は、もうHACCPに基づいた衛生管理が求められています。

「そんなこと言ったって、フキノトウが取れたときに、フキ味噌(ばっけみそ)を作って直売所で売ってるだけだよ」

「たま~に、柏餅とか桜餅とか仲間と作って道の駅に出してるんだ」

「柿がたくさんとれるから、干し柿作って近所の八百屋で売ってもらってる」

という方でも、食品を売っているならHACCPの考えを取入れた衛生管理の計画や実施記録を、文書で残す必要があります。(食品衛生法の許可または届出も必要です)

もっとも、共同利用加工施設を利用しているならば、既にその施設管理者がHACCPに関する指導などをなさっておられると思いますが・・・。

万が一、まだHACCPの考えを取入れた衛生管理に手を付けておられないならば・・・

まず、施設管理者と、衛生管理の役割分担の協議をしましょう!

その上で、自分の役割に応じた衛生管理の計画や実施記録を作りましょう。

さらに、その衛生管理計画や実施記録を、施設管理者と利用者の間で、どのように確認しあうのか等の決まり事も必要になるかと思います。

いずれにしても、まだ未整備の施設または利用者は、対応を急がれた方がよろしいかと思います。

当事務所では、喜んでご協力いたします。

ちなみに、関連した農水省のHPはこちら

農水省HP : 改正食品衛生法の概要、HACCP手引書等について

※イラストは「いらすとや」より

農家が漬物を作って販売する時

白菜の漬物のイラスト

例えば、農家のおばあさんが

畑で採れた大根で作ったたくあん

を、道の駅などに出して販売する時です。

令和3年6月1日から施行される食品衛生法により、

漬物製造業の営業許可

を取得する必要があります。

詳しくは、地域の保健所にお問合せください。

注意1

「これまでも保健所に届出してたよ」という方。

これまでの届出は、都道府県などの条例に基づいた届出だったのです。

今年の6月1日からは、

法律に基づいた営業許可申請

になりますので、これまでとは違うものです。

ですから、これまでの届出の期限がまだ来ない場合でも、

改めて許可申請をしなければなりません。

注意2

作ったお漬物を販売する以上、

HACCPの考えを取入れた衛生管理

をする必要があります。

注意3

食品表示の仕方も規制が出てまいります。

農産物の直売所は、食品衛生法上の届出が必要か?

市場の屋台のイラスト

令和3年6月1日から施行される「 改正 食品衛生法」。

この改正により、食品や飲料を取り扱う事業者は、原則として

食品衛生法上の営業許可を得るか、

保健所に営業の届出をする

のどちらかをすることになります。

※詳しくは、「食品を取り扱う事業者の営業届」を御覧ください。

ただし、これには7つの例外があります。

その1つが

「農家や漁師が行う採取・収穫の一部とみなせる行為(出荷前の調整等)」は営業には含まない

ことから、営業の許可も届出も不要となります。

※食品衛生法第4条第7項

上の規定からすると、

「農家が運営する農産物の直売所は、営業の届出は不要」と考えて良いのでしょうか?

私の答えは、

「Yes の場合と No の場合がある」

です。

※以下は私の考えです。正確を期すために、必ず保健所に御確認下さい。

1 農産物の直売所が、営業の届出が不要な場合

農家が自ら生産し収穫した農産物を、加工しないでそのまま販売する場合には、届出は不要です。

この条件をもう少し詳しく見てみます。

① 「農家が自ら生産し収穫した農産物」であること。

ということは、他の農家が生産し収穫した農産物を仕入れて販売する場合は、ここには当てはまりません。ですから届出が必要になると思われます。

「農家が自ら」というのは、もちろん「農場経営者自身でなければならない」ということではありません。

その農場から収穫された農産物であるならば、それを売る直売所は届出不要です。

② 「加工しないでそのまま販売する」こと。

例えば、「収穫された大根を2つに切ってラップに包んで販売」する程度の加工ならば届出はいらないようです。

しかし、「キャベツを千切りにして袋に詰めて販売」するところまで加工すると、届出が必要になります。

さらに、「自家製の漬物を販売」になると「漬物製造業」として保健所から許可を得なければならなくなります。

2 農産物直売所も、営業の届出が必要な場合

「1 農産物の直売所が、営業の届出が不要な場合」でも触れましたが、他の農家が生産した農産物やカット野菜を販売する場合には、保健所への届出が必要になります。

では、「農家のグループで、共同して運営する直売所」はどうでしょうか?

この場合には、「3 判断の根拠」に記した「農業及び水産業における食品の採取業の範囲について」という通知に、以下のような判断が示されています。

「生産者団体の行う農畜産物の販売」は「八百屋」と同様に届出が必要。

営業の届出が必要になる場合などのもう少し詳しい説明は、↓をクリックして御覧ください。

食品を取り扱う事業者の営業届

3 判断の根拠

以上の判断根拠は、次の条文や通達などです。

4 以上から考えて

「自分の所でとれた野菜をそのまま売る」だけなら届出はいりません。

しかし、他の農家の農産物も売る可能性がある場合には、届出をする必要が出てくるかもしれません。

届出に伴う様々な義務との兼ね合いを考えて、直売所の経営方針を考えた方がよろしいでしょう。

なお、届出の要・不要の判断が難しい場合には、必ず保健所に確認するようにしてください。

マタギもHACCP?

今年は熊の人里への出没が話題になっています。

クマの親子のイラスト
※画像は「いらすとや」から

また、近年では鹿、イノシシやハクビシンなどによる農作物などの被害も話題です。

ニホンジカのいのイラスト(角あり)
※画像は「いらすとや」から
畑を荒らすイノシシのイラスト
※画像は「いらすとや」から

そんな中、注目されているのがジビエです。

野生の動物(鹿、イノシシ等の大型の動物だけでなく、ウサギやハクビシン、あるいは野鳥)を食用の肉にしたものをジビエと言います。

野生動物を獲るには、狩猟免許が必要です。

捕獲した獲物をジビエとして提供するには、食品衛生法による営業許可が必要です。

※こちらのページに簡単な説明を載せました。「ジビエに関わる制度って?

つまり、マタギ等の狩猟者も、獲物を解体処理した肉を販売する場合には、食品衛生法の食肉処理業と食肉販売業の営業許可を得る必要があります。

また、食品衛生法によれば、2021年6月から、すべての食品事業者にHACCPに基づく衛生管理が義務付けられます。

つまり、マタギ等の伝統に基づいた狩猟者であっても、野生動物を解体・処理し、食肉として販売する食品事業者である限り、HACCPの考えを取入れた衛生管理を行わなければなりません

野生動物は飼育された牛や豚よりも様々な細菌や寄生虫がついている可能性が高い。その反面、獣医師等による検査を経たうえで流通する牛肉や豚肉とは異なり、ジビエはそのような検査はないのです。

ですから、ジビエを販売、提供する事業者には、より高度な衛生に関する知識や技術、あるいはモラルが求められます。

参考

● 厚生労働省ホームページ「ジビエはよく加熱して食べましょう」

「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」等の資料が掲載されています。

● 一般社団法人 日本ジビエ振興協会 のホームページ

日本ジビエ振興協会は、食品衛生法の改正により2021年6月から完全実施されるHACCPに基づく衛生管理の、小規模ジビエ処理施設向け手引書を作成した団体です。

この手引書は、日本ジビエ振興協会のHPや厚労省のHPからダウンロードできます。

手引書の他にも、様々なジビエ関連の情報が日本ジビエ振興協会のHPに掲載されているので、御興味のある方はぜひアクセスしてみてください。

ジビエを買う場合の注意

野生のイノシシやシカ等の肉を購入する場合にも、注意しなければならないことがあります。

① 消費者や飲食店等に共通する注意事項

食肉処理業 あるいは 食肉製品製造業 と、 食肉販売業の営業許可を得ている事業者から購入しましょう。

② 飲食店等がジビエ料理を提供するために仕入れる場合の注意事項

①に加え、「捕獲、搬入・受入れ、処理に関わる記録表」(個体ごとの履歴のわかるもの)を確認、あるいはコピー等も入手し保管しておく方がよいでしょう。

継続的に取引をする場合には、検品や異常発見時の処理の事項を含めた契約書を作ることをお勧めします。

※記録表の作成は、厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」や、このガイドラインをもとにして 一般社団法人 日本ジビエ振興協会 が作成した「小規模ジビエ処理施設向け~HACCPの考えを取入れた衛生管理のための手引書」 でも求められています。

八百屋と産直市場のHACCP

改正された食品衛生法は、すべての食品事業者にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理を義務化しました。

HACCPというのは、簡単に言えば食中毒や異物混入などの食品事故を起こさないための取組みです。

HACCPをやっている食品事業としては、「レトルト食品や缶詰・冷凍食品などを作っている工場」というのが、以前の私の持っているイメージでした。

けれども、今年2020年6月から施行され、来年2021年6月から完全実施される「HACCPに沿った衛生管理」をしなければならない食品事業者には、街の小さな八百屋さんや農産物直売所なども含まれます

こんなことを八百屋の威勢の良い親父さんに言えば、

「何言ってんだい!こちとら何十年もここで商売をやってて、一度だって食中毒をおこしたことなんてないんだ!こちとら信用で成り立つ商売やってんだ!四の五のいってねぇで、とっとと帰りやがれ!」

と怒られそうですが・・・。

もちろん、これまでの方法でもかまいません。

HACCPが求めているのは、その方法を文書にすることと、実際にやったことを証拠として保存することです。

もう少しだけ、くわしく説明します。

八百屋や直売所に求められるHACCPにそった取り組みは、おおまかに言えば次のようなことをすることです。

① あらゆる食中毒や異物混入を防止するための、衛生管理計画を作る。

② 衛生管理計画を、経営者・従業員全員で実行する。

③ 実行したこと、あるいはその結果を記録に残し、保存する。

この3点について、少しだけ注意事項を示します。

① 衛生管理計画

衛生管理計画は、仕入から販売まで(商品の保管も含みます)の商品の取り扱いの注意事項や、店舗や従業員の衛生管理も含みます。

言い換えれば、食中毒や異物混入を防止するための、お店のルールを文書にします。

② 実行

①の衛生管理計画に書いたルールを、パートやアルバイトを含めた全員がやりとげることが大切です。

もし、ルールを徹底できないときはどうするか?

そのこともルール化します。

③ 記録と保存

記録は基本的に文書化します。パソコン等で作成してもかまいませんが、すぐに確認できる状態にしておくことが大切かと思います。

①から③のHACCPに沿った衛生管理の実施状況を、保健所の食品衛生監視員が確認することがあります。

ですから、記録した文書は1年以上は保管します。

八百屋や直売所が取り組むHACCPについて、より詳しくは、

一般財団法人 食品産業センター

厚生労働省

のどちらかから、手引書をダウンロードして御覧ください。

なお、当事務所では、この手引きにある計画書や記録用紙をもとに、お店にあった様式を作成、またはお手伝いします。

御希望の方はメールでお問い合わせください。

<生産者の方へ>

上のように、すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理とその記録が義務付けられます。

これは八百屋や直売所だけでなく卸売業者や仲卸も、HACCPに沿った衛生管理をやらなければなりません。

その衛生管理は、食品の仕入れ段階から始まります。

したがって、もしかすると、農産物の納入・搬入じの検品が、これまで以上に厳しくなったり、これまでは求められなかった書類を添えなければならなくなるかもしれません。

そのことも念頭に置いておいた方がよろしいかと思います。