アワビ、ナマコ、シラスウナギの販売には届出と記録が必要!?~飲食店、小売店、宿泊業~

水産物について投稿するのは初めてですが、主に飲食店や小売店、民宿等の宿泊事業者に向けての情報です。

すでに自治体や組合等からお知らせが届いているかもしれませんね。

でも、もしかしたらお知らせを見落としているかもしれませんので、念のためお伝えいたします。

令和4年12月から、アワビ、ナマコ、シラスウナギや、その加工食品等を取引をする場合の、法律の規制が始まります。

法律名は「水産流通適正化法」と言います。

興味のある方は水産庁のwebサイトを御覧ください。

※法律の正式名称は「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」

1.規制の対象になるもの

アワビやナマコ、シラスウナギ(全長13㎝以下)や、これらを主原料として製造したり加工したものの取引が対象です。

例えば、冷凍したり乾燥したアワビやナマコだったり、煮たり蒸したものを取引する場合には、この法律により事業の届出や取引記録の保存などを行う必要があります。

食用だけでなく非食用も規制対象になっていることに注意してください。

アワビやナマコの加工食品等について詳しくは、水産庁のWebサイトを御覧ください。

2.小売店、飲食店、宿泊事業者に求められる対応

小売店、飲食店、宿泊事業者は、以下の(1)~(3)の対応をすることが求められます。

一般消費者への販売や、食事の提供だけを行っている事業者の場合には、(2)だけが義務になります。

(1)事業の届出

事業所が1つの都道府県内にだけある事業者は、都道府県知事に対して次の事項を届出ます。

  • 氏名又は名称、住所
  • 事務所、店舗等の所在地
  • 取り扱う種類(アワビ、ナマコ)

ただし、ほとんど消費者に対して食品を提供しているような場合は、事業の届出は必要ありません。

※例えば消費者相手に商売をしている鮮魚店が、お得意様の飲食店や民宿にアワビやナマコを納入しているような場合には、届出をする必要があります。ただ念のため、都道府県に確認した方が良いと思います。

届出は電子申請(eMAFF)で行うことが原則です。

なお、行政書士が代理して届け出ることも認められています。お近くの行政書士に御確認ください

(2)仕入れ(受入れ)の際の取引記録の作成と保存

 アワビやナマコあるいはそれらの加工食品等を仕入れたり、漁業者等が持ち込んできたものを受入れる場合には、次の6つの事項を記録し、仕入れた時から3年間保存しなければなりません。

  1. 名称
  2. 重量又は数量
  3. 仕入た(受け入れた)年月日
  4. 仕入先あるいは持ち込んできた人の氏名又は名称
  5. 漁獲番号 又は 荷口番号 (注)
  6. 輸入又は養植物の場合は、その旨を記録

 こうした記録は、店舗ごと、またアワビとナマコを分けて整理して保存します。

 ただし、上記の6つのことが記録されている納品書等があれば、それを分類・整理し保存することで十分です(あらためて帳簿を作る必要はありません)。

なお、この受入記録の作成と保存は、消費者への販売がほとんどである飲食店や小売店等も行う必要があります。

(注)漁獲番号 と 荷口番号

 アワビやナマコを採る漁業者や加工事業者、流通事業者は都道府県知事や農林水産大臣に事業の届出をしています。その届出の際に各事業者ごとに7桁の番号が割り振られており、それを基に取引年月日と取引番号を加えて、16桁の取引番号を作り、取引の相手方に伝達します。

届出番号(7桁)+取引年月日(6桁)+取引番号(3桁) = 16桁の番号

※取引番号はナマコとアワビで分けて割り振る必要があります。

 こうして出来上がった番号には、漁業者と流通事業者等で名称に違いがあります。

漁業者・漁協 ⇒ 漁獲番号     加工事業者・流通事業者 ⇒ 荷口番号 

 つまり、漁獲番号や荷口番号のない取引により、アワビやナマコを仕入れたり受入れたりすることは法令に抵触する可能性があります。場合によっては50万円以下の罰金が科せられるかもしれません。

(特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律第16条第5号)

 漁獲番号や荷口番号を付けないで、他の事業者に販売したりする行為は密漁等に関係していることが疑われるので、こうした事業者が取引を持ち掛けてきた場合には、関係当局に通報した方が良いと思います。

(3)販売(引渡し)の際の情報の伝達と取引記録の作成と保存

アワビやナマコ、あるいはそれらの加工食品等を、他の事業者に販売または引き渡す場合には、相手先に情報の伝達と共に、取引記録の作成と保存が必要です。

消費者に販売する場合(飲食店や宿泊業が、客に食事として提供する場合も含みます)には、情報の伝達も取引記録の作成と保存も必要ありません。

1) 販売(引渡し)先への情報の伝達

他の事業者にアワビやナマコ等を販売(引き渡す)場合には、納品伝票等を利用して、次の情報を開いて事業者に伝達しなければなりません。

  • 名称(アワビ、ナマコ)
  • 漁獲番号又は荷口番号 ※注
  • 自社の名称(または屋号)
  • 販売(引渡し)した重量又は数量
  • 販売(引渡し)した年月日

2) 取引記録の作成と保存

他の事業者にアワビやナマコ等を販売(引渡し)した場合には、次の事項を記録します。

  • 名称(アワビ、ナマコ)
  • 漁獲番号又は荷口番号 ※注
  • 販売(引渡し)先の名称(または屋号)
  • 販売(引渡し)した重量又は数量
  • 販売(引渡し)した年月日

なお、販売先に渡した納品伝票等に相手先の名称が記載されていれば、この納品伝票の控を保存しておけば、この保存義務のある取引記録として利用できるかと思います。

※注 販売先に伝達する漁獲番号又は荷口番号

水産庁が令和4年5月に作成した「『特定水産動物等の国内流通適正化等に関する法律』に関するQ&A(案)」をみると、販売先に伝達する漁獲番号又は荷口番号には次の2つのパターンが有り得ます。

 ① 仕入先から伝達された漁獲番号または荷口番号を、そのまま販売先に渡す納品書に記載する。

 ② 自社に割り振られた事業者番号を利用して作成した荷口番号を、販売先に渡す納品書に記載する。

上の①②のどちらでもOKのようですが、注意しなければならないことがあります。

この法律の目的は、密漁や密輸されたアワビやナマコ、シラスウナギが流通しないように管理して、水産動植物の減少を防ぐことにあります。

そのため、「どこで採れたアワビやナマコが、どのような流通経路をたどって、消費者の手元に届いたのか」ということを、納品書や事業者の記録から追跡できるようにする必要があります。

事業者間で伝達する漁獲番号や荷口番号を②のように仕入先から伝達された番号Aと、販売先に伝達する番号Bが違う場合には、AとBの関連がわかるように取引記録を作成し保存しておかなければならないのです。

詳しくは、水産庁の ↓ のページを御覧ください。

水産流通適正化法に係る周知・普及啓発資料:水産庁 (maff.go.jp)

直売所アプリ ファームポスト

遅まきながらの話題かもしれません。

農水省が今日(令和4年6月23日)に発行した6次産業化・地産地消メールマガジン第187号で紹介されていたのですが、

直売所と消費者をつなぐ「ファームポスト」という直売所アプリがあるそうです。

詳しいことは、↓ をクリックしてファームポストのWebサイトをごらんいただきたいのですが、

ここでは私が「これ、いいかも」と思った点を御紹介します。

※ただし、この原稿を書いている時点で私はファームポストを利用しておりませんので、あくまでも直売アプリの概要を読んだ感想にすぎないこを予めお断りしておきます。

ファームポスト(Farm Post)は、直売所ファンのみなさんへ、全国の直売所から旬の情報をアナタにだけお届けします。 (farm-post.com)

「ファームポストはいいかも」と思った理由

インターネット上には、生産者と消費者を直接つなぐECサイトがいくつかあります。

私は生産者ではないので、想像で物を言って恐縮ですが、こうしたサイトを生産者が利用するメリットはもちろんありますが、デメリットもあると思うのです。

大きなところでは、「注文を受け、それに応じた出荷作業」でしょうか。

あと、もう1つはコストの管理もあるかもしれません。

もう1つ見逃せないデメリットは、インターネットあるいはスマートフォンを利用できない生産者は、はじめからECサイトのメリットを享受することから除外されること。

もちろん、周辺に協力してくれる方がいれば別でしょうけれど。

例えば高齢の生産者。

スマホを苦手にしている人が多いと思います。ですからECサイトを個人として利用することは難しいでしょう。

一方で、道の駅や直売所に農産物とか漬物などの食品を出荷して、それなりの人気を得ている方もいらっしゃいますよね。

このファームポストは、直売所が中心になって、生産者と消費者をつなぐことができるようです。

ということは、多くの高齢生産者のようにスマホが苦手な人であっても、ECサイトの魅力の1つである「全国の消費者とつながる」道がひらけるのではないでしょうか?

ファームポストの役割は、直売所への入荷情報を消費者に伝え、消費者の感想等を生産者に伝えることにあります。

つまり、ECサイトのように直接、注文を受け、料金のやり取りができるものではなさそうです。

この点は一見、ECサイトに比較してデメリットのようにも感じます。

でも、もし直売所がメールやネット上で消費者から注文を受け発送する仕組みを持っているならば、ECサイトのように個々の生産者が受注から発送するまでの手間が省けます。

直売所への入荷情報は、生産者がファームポストに投稿する方法の他に、直売所に備えてある専用のタブレットで投稿することもできます。

しかも、生産者の情報はバーコードで管理されているので、簡単に入力できそうです。

私のイメージとしては、「生産者が農産物などを直売所に持ち込み、直売所のスタッフに会員カードを示す。スタッフは会員カードにバーコードリーダーを当てて生産者情報をタブレットに自動入力。あとは、今日の入荷情報をタブレットに入力」するだけ。あとは、通常の直売所の利用方法と同じ!

これなら、高齢生産者にも受け入れやすいだろうし、販路も広がる!

私が「ファームポストは、いいかも」と思った理由はここにあります。

ファームポストの導入コスト

ファームポストは農水省のメルマガで紹介されていたとはいえ、運営しているのは民間企業です。

当然、無料ではありません。

料金はファームポストのサイトを御覧ください。

直売所アプリの概要を説明した資料も公表されています。

※ファームポストのWebサイトにある「資料をダウンロード」をクリック

お試し無料期間もあるようですが、その後は直売所は有料になります。

初期の導入コストについては、もしかすると自治体などの補助事業などもあるかもしれませんので、御確認下さい。

教えてください!大豆の作付面積が増えない理由

山と川と畑のイラスト(背景素材)

Twitterにも引用しましたが、昨年6月の日本能率協会総合研究所の調査研究の発表によれば、

2019年度には15億円規模だった大豆ミートの需要は、2022年度には25億円規模になり、さらに2025年度には40億円に達する見込みだそうです。

引用元 2025年度の大豆ミート国内市場は40億円に–日本能率協会総合研究所 – CNET Japan

同じく能率協会が令和元年度に農水省の委託事業として行った調査研究によれば、世界的に植物肉(大豆や小麦などを原料にしたもの)の市場規模は拡大の見通しです。

情報源 yosan-25.pdf (maff.go.jp)

このように今後、大豆や小麦の需要は増加する予測が出ているのですが、大豆の作付面積はここ数年でそれほど増えていないようなんです。

明治時代は平均して45万ha(全国)あった大豆の作付面積は、昭和30年代には約30万haに減り、平成6年位には6万haまでになったものの、その後増加。ただ、平成27年くらいから令和元年くらいまでは約15万ha程度で落ち着いています。

データ元 <87543190B68E598EC090D181698DCF82DD816A2E786C7378> (maff.go.jp)

でも、農水省は大豆や小麦の生産性を向上させようと対策を講じています。

【事業のご案内】新市場開拓に向けた水田リノベーション事業:農林水産省 (maff.go.jp)

麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトについて:農林水産省 (maff.go.jp)

mugimame_pro-22.pdf (maff.go.jp)

昨年は米の価格が大幅に下がりました。

一方で、10aあたりの労働時間は米より大豆の方が少なく、所得は大豆の方が上です。

データ元 kome_seisaku_kaikaku-8.pdf (maff.go.jp)

にもかかわらず、大豆の作付面積がなかなか増えないのは何故なのか?

おそらく何らかの理由があるはずなのですが、私にはよくわからないのです。

どなたか教えて頂けませんか?

※絵は「いらすとや」より

農業関係のオンライン申請の研修

パソコンを使う農家の男性のイラスト

昨日(R3年12月13日)に、農業関係のオンライン申請の研修が、日本行政書士会連合会主催でありました。

このオンライン申請の名称は、

eMAFF(農林水産業共通申請サービス)

というものです。

講師は、農水省の担当者である課長補佐の畠山氏。

現在、eMAFFを利用して申請できることが徐々に増えてきているようですが、例えば、認定農業者制度関連があります。

一方で、農地法関連は未だオンライン申請はできないようです。(R3年12月現在)

自治体等でEMAFFに対応していない所もかなりあるようなので、そのあたりのところも確認しながらの利用になります。

とはいえ、補助金等の申請は近い将来はオンライン申請が基本になるかもしれませんし、その方が楽になる可能性もあります。

ちなみに、オンライン申請を行うには、eMAFFのIDを取得する必要があります。

eMAFFのIDの取得の仕方については、こちらを御覧ください。

eMAFF(農林水産省共通申請サービス)のIDの取り方

電子申請等が苦手な方には、当事務所でIDの取得からお手伝いいたします。

なお、eMAFFそのものをお知りになりたい方は、こちらを御覧ください。

ポータル | 農林水産省共通申請サービス (maff.go.jp)

澤田行政書士事務所へのお問い合わせはこちらから

  メール ⇒ お問い合わせ

  電 話 ⇒ 022-796-5845

農業版BCP~農水省

自然災害の中で心配をする米農家のイラスト

2月12日の日本農業新聞(Web版)を見ていたら、「農水省が農業版BCPのひな型を作成し、HPから入手できる」という記事がありました。

ちなみに、BCPとは、日本語で事業継続計画と言い、

災害に見舞われた後、できるだけ早く事業を復旧させるために、平時に、防災計画と復旧計画を立てて準備活動を行うことです。

PDCAサイクルのイラスト

というわけで、早速、農水省のサイトで、ひな型やパンフレットなどを入手しましたよ。

農水省 : 自然災害等のリスクに備えるためのチェックリストと農業版BCP

農水省が用意していたひな型は、大きく分けて

  • リスクマネジメントのチェックリスト
  • 事業継続に関わるチェックリスト

の2つのExcelファイルから成ります。

さらに、これは、耕種用、園芸用、畜産用の3つの類型ごとに用意されています。

上の2つのチェックリストの内、「事業継続に関わるチェックリスト」に、農業版事業継続計画書のひな型が含まれているという仕組みになっています。

これらとは別に、チェックリストなしの「事業継続計画書(簡易版)」もあります。

私がサラッと見た感想からすると、

  ① チェックリストに従って、現状を把握する。

  ② 現状を把握した上で、事業継続計画書を作成する。

という流れの方が良いだろうと思いますし、これが本来のBCPの在り方だとも考えます。

BCPは「災害に備えて」と説明されることから、ともすれば「台風や地震などの自然災害への対応」と考えがちですが、そうではありません。

例えば、現在の新型コロナ感染症のような事態にも対応できるようにするのがBCPです。

実際、畜産編のリスクマネジメントのチェックリストには、鳥インフルエンザや豚熱を想定している項目もあります。

以下は、私の勝手な考えです。

認定農業者になるためには、農業経営改善計画を作成しますよね?

この農業経営改善計画の中に、

  • 生産方式の合理化
  • 経営管理の合理化

に関わる記入欄があります。

ここに「BCPを作成し、実施する」というようなこと、あるいはBCPの中に具体的に記入した内容を記入しても良いのではないかと思うのです。

というのも、生産方式の合理化や経営管理の合理化の記載例に「GAPの導入」というのがあるからです。

BCPを作成することで、認定農業者として認められるかどうかはわかりませんが、

BCPは災害などに強い事業にするための計画

であることから考えると、

BCPを作成し取組むことは、つまり強靭な経営体になる

ということですから、それは

すなわち経営改善につながる

と、私は思うのですが・・・。

以上はともかくとして、BCPに取組むかどうかは別にして、一度、農水省のHPを御覧になられてはいかがでしょうか?

※この投稿の画像は「いらすとや」より

青果店や産直市場の衛生管理

青果店や産直市場も食品衛生法上の届出を今年の6月1日以降することになりました。

こうした届出業者に求められるのが、

HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理です。

HACCPに沿った衛生管理は、「一般衛生管理」と「重点管理ポイント」の2点について計画を立て、それを実施し、記録を残すのですが、

青果店などで調理をしない事業者にも求められるのが、「一般衛生管理」について実施することです。

詳しくは、「青果店や産直市場もするHACCPに基づく衛生管理~一般衛生管理」を御覧ください。

なお、ここは時折、更新する予定です。

また、HACCPに関わりのない農家の方にも、一瞥していただければうれしいです。

理由は、GAPに関係することが多いことと、GAPに関心のない方であっても「取引先が心がけている衛生管理」について知っておくことは無駄にはならないと思うからです。

養鶏農場以外の人の、鳥インフルエンザの予防策

はくちょう座のイラスト(星座)

今シーズンの高病原性鳥インフルエンザの感染は、過去最多の勢いを加速させている感があります。

農水省によれば、鳥インフルエンザは渡り鳥などの野生動物が感染を拡大させているようです。

昨年11月あたりから現在までの養鶏場での発生例は、千葉県での2例を除いてほとんどが西日本です。

しかし、これから渡り鳥が北に帰るシーズンを迎えるにつれ、この傾向がどうなるかわかりません。

環境省のデータでは野鳥の検査で陽性が確認されたのものには、北海道や新潟もありました。

ですから、これまで感染が確認されていない地域であっても油断はならないのだと思います。

感染の予防には、養鶏農場以外の私たちも一役買うことができるのではないかと思います。

シジュウカラガンのイラスト(鳥)

例えば、田畑でエサを探していたり休んでいる白鳥やガンなどを見ることがあります。

そうした中に、目立って元気のない鳥が混ざっていないか?

時にはそういう目を持って観察することがあってもよいのではないでしょうか。

あるいは、目立った傷のない鳥の死がいを見つけたとき。

そんなときは、

死がいに触らずに

家畜保健衛生所 に連絡!

農研機構のHPに一覧があります

あるいは

都道府県 あるいは 市町村 に連絡!

養鶏農場で飼育している鶏への感染経路として、野生動物との接触が考えられるので、

野鳥の異常を見つけたら、早期に行政に連絡することで、

その近隣の養鶏農場も警戒態勢を整えやすくなる

と私は考えます。

※画像は「いらすとや」より

今一度、鳥インフルエンザの予防の点検を!

鶏小屋のイラスト

今日の日本農業新聞のWeb版に、「鳥インフル対策徹底を リーフ作成 農水省」という記事が掲載されていました。

記事によれば、昨年11月から15県で36例の高病原性鳥インフルエンザの感染例が確認されており、殺処分された鶏も600万羽に上るそうです。

昨年12月付の農水省が出した「高病原性鳥インフルエンザへの対応について」では、12月時点での殺処分した鶏の数は、過去のシーズン最大殺処分数を優に超えています。

世間では新型コロナ感染症への関心が高まっておりますが、この高病原性鳥インフルエンザにも十分注意する必要があるようです。

既に養鶏農場のみなさんには、様々な感染防止対策をされておられると思います。

ですが、今一度、感染防止策を点検することをお勧めします。

というのも、新型コロナでも同様ですが、防止策を十分とっている病院や施設でもクラスターが発生しているのを見るにつけ、「絶対に」大丈夫というのはないのだと思うからです。

そこで、昨年の12月18日に農水省が公表した「家きん飼養農場における飼養衛生管理の自己点検結果(地区種別)」から、感染防止のための7項目を、あえて記します。

感染防止のための7項目

1 衛生管理区域に立ち入る者の手指消毒等

2 衛生管理区域専用の衣服及び靴の設置並びに使用

3 衛生管理区域に立ち入る車両消毒等

4 家きん舎に立ち入る者の手指消毒等

5 家きん舎ごとの専用の靴の設置及び使用

6 野生動物の侵入防止のためのネット等の設置、点検及び修繕

7 ねずみ及び害虫の駆除

何しろ、相手は「自然」であり、見ることのできない脅威であり、動きを十分には予測できない動物が媒介しております。

侵入防止のためのネットや仕切り、塀などに、ほんの小さなほころびがあるだけで、そこからネズミ等が侵入し、感染させるとも言われております。

念には念を入れて、予防策を講じて頂きたい。

農産物の直売所は、食品衛生法上の届出が必要か?

市場の屋台のイラスト

令和3年6月1日から施行される「 改正 食品衛生法」。

この改正により、食品や飲料を取り扱う事業者は、原則として

食品衛生法上の営業許可を得るか、

保健所に営業の届出をする

のどちらかをすることになります。

※詳しくは、「食品を取り扱う事業者の営業届」を御覧ください。

ただし、これには7つの例外があります。

その1つが

「農家や漁師が行う採取・収穫の一部とみなせる行為(出荷前の調整等)」は営業には含まない

ことから、営業の許可も届出も不要となります。

※食品衛生法第4条第7項

上の規定からすると、

「農家が運営する農産物の直売所は、営業の届出は不要」と考えて良いのでしょうか?

私の答えは、

「Yes の場合と No の場合がある」

です。

※以下は私の考えです。正確を期すために、必ず保健所に御確認下さい。

1 農産物の直売所が、営業の届出が不要な場合

農家が自ら生産し収穫した農産物を、加工しないでそのまま販売する場合には、届出は不要です。

この条件をもう少し詳しく見てみます。

① 「農家が自ら生産し収穫した農産物」であること。

ということは、他の農家が生産し収穫した農産物を仕入れて販売する場合は、ここには当てはまりません。ですから届出が必要になると思われます。

「農家が自ら」というのは、もちろん「農場経営者自身でなければならない」ということではありません。

その農場から収穫された農産物であるならば、それを売る直売所は届出不要です。

② 「加工しないでそのまま販売する」こと。

例えば、「収穫された大根を2つに切ってラップに包んで販売」する程度の加工ならば届出はいらないようです。

しかし、「キャベツを千切りにして袋に詰めて販売」するところまで加工すると、届出が必要になります。

さらに、「自家製の漬物を販売」になると「漬物製造業」として保健所から許可を得なければならなくなります。

2 農産物直売所も、営業の届出が必要な場合

「1 農産物の直売所が、営業の届出が不要な場合」でも触れましたが、他の農家が生産した農産物やカット野菜を販売する場合には、保健所への届出が必要になります。

では、「農家のグループで、共同して運営する直売所」はどうでしょうか?

この場合には、「3 判断の根拠」に記した「農業及び水産業における食品の採取業の範囲について」という通知に、以下のような判断が示されています。

「生産者団体の行う農畜産物の販売」は「八百屋」と同様に届出が必要。

営業の届出が必要になる場合などのもう少し詳しい説明は、↓をクリックして御覧ください。

食品を取り扱う事業者の営業届

3 判断の根拠

以上の判断根拠は、次の条文や通達などです。

4 以上から考えて

「自分の所でとれた野菜をそのまま売る」だけなら届出はいりません。

しかし、他の農家の農産物も売る可能性がある場合には、届出をする必要が出てくるかもしれません。

届出に伴う様々な義務との兼ね合いを考えて、直売所の経営方針を考えた方がよろしいでしょう。

なお、届出の要・不要の判断が難しい場合には、必ず保健所に確認するようにしてください。

マタギもHACCP?

今年は熊の人里への出没が話題になっています。

クマの親子のイラスト
※画像は「いらすとや」から

また、近年では鹿、イノシシやハクビシンなどによる農作物などの被害も話題です。

ニホンジカのいのイラスト(角あり)
※画像は「いらすとや」から
畑を荒らすイノシシのイラスト
※画像は「いらすとや」から

そんな中、注目されているのがジビエです。

野生の動物(鹿、イノシシ等の大型の動物だけでなく、ウサギやハクビシン、あるいは野鳥)を食用の肉にしたものをジビエと言います。

野生動物を獲るには、狩猟免許が必要です。

捕獲した獲物をジビエとして提供するには、食品衛生法による営業許可が必要です。

※こちらのページに簡単な説明を載せました。「ジビエに関わる制度って?

つまり、マタギ等の狩猟者も、獲物を解体処理した肉を販売する場合には、食品衛生法の食肉処理業と食肉販売業の営業許可を得る必要があります。

また、食品衛生法によれば、2021年6月から、すべての食品事業者にHACCPに基づく衛生管理が義務付けられます。

つまり、マタギ等の伝統に基づいた狩猟者であっても、野生動物を解体・処理し、食肉として販売する食品事業者である限り、HACCPの考えを取入れた衛生管理を行わなければなりません

野生動物は飼育された牛や豚よりも様々な細菌や寄生虫がついている可能性が高い。その反面、獣医師等による検査を経たうえで流通する牛肉や豚肉とは異なり、ジビエはそのような検査はないのです。

ですから、ジビエを販売、提供する事業者には、より高度な衛生に関する知識や技術、あるいはモラルが求められます。

参考

● 厚生労働省ホームページ「ジビエはよく加熱して食べましょう」

「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」等の資料が掲載されています。

● 一般社団法人 日本ジビエ振興協会 のホームページ

日本ジビエ振興協会は、食品衛生法の改正により2021年6月から完全実施されるHACCPに基づく衛生管理の、小規模ジビエ処理施設向け手引書を作成した団体です。

この手引書は、日本ジビエ振興協会のHPや厚労省のHPからダウンロードできます。

手引書の他にも、様々なジビエ関連の情報が日本ジビエ振興協会のHPに掲載されているので、御興味のある方はぜひアクセスしてみてください。

ジビエを買う場合の注意

野生のイノシシやシカ等の肉を購入する場合にも、注意しなければならないことがあります。

① 消費者や飲食店等に共通する注意事項

食肉処理業 あるいは 食肉製品製造業 と、 食肉販売業の営業許可を得ている事業者から購入しましょう。

② 飲食店等がジビエ料理を提供するために仕入れる場合の注意事項

①に加え、「捕獲、搬入・受入れ、処理に関わる記録表」(個体ごとの履歴のわかるもの)を確認、あるいはコピー等も入手し保管しておく方がよいでしょう。

継続的に取引をする場合には、検品や異常発見時の処理の事項を含めた契約書を作ることをお勧めします。

※記録表の作成は、厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」や、このガイドラインをもとにして 一般社団法人 日本ジビエ振興協会 が作成した「小規模ジビエ処理施設向け~HACCPの考えを取入れた衛生管理のための手引書」 でも求められています。