アワビ、ナマコ、シラスウナギの販売には届出と記録が必要!?~飲食店、小売店、宿泊業~

水産物について投稿するのは初めてですが、主に飲食店や小売店、民宿等の宿泊事業者に向けての情報です。

すでに自治体や組合等からお知らせが届いているかもしれませんね。

でも、もしかしたらお知らせを見落としているかもしれませんので、念のためお伝えいたします。

令和4年12月から、アワビ、ナマコ、シラスウナギや、その加工食品等を取引をする場合の、法律の規制が始まります。

法律名は「水産流通適正化法」と言います。

興味のある方は水産庁のwebサイトを御覧ください。

※法律の正式名称は「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」

1.規制の対象になるもの

アワビやナマコ、シラスウナギ(全長13㎝以下)や、これらを主原料として製造したり加工したものの取引が対象です。

例えば、冷凍したり乾燥したアワビやナマコだったり、煮たり蒸したものを取引する場合には、この法律により事業の届出や取引記録の保存などを行う必要があります。

食用だけでなく非食用も規制対象になっていることに注意してください。

アワビやナマコの加工食品等について詳しくは、水産庁のWebサイトを御覧ください。

2.小売店、飲食店、宿泊事業者に求められる対応

小売店、飲食店、宿泊事業者は、以下の(1)~(3)の対応をすることが求められます。

一般消費者への販売や、食事の提供だけを行っている事業者の場合には、(2)だけが義務になります。

(1)事業の届出

事業所が1つの都道府県内にだけある事業者は、都道府県知事に対して次の事項を届出ます。

  • 氏名又は名称、住所
  • 事務所、店舗等の所在地
  • 取り扱う種類(アワビ、ナマコ)

ただし、ほとんど消費者に対して食品を提供しているような場合は、事業の届出は必要ありません。

※例えば消費者相手に商売をしている鮮魚店が、お得意様の飲食店や民宿にアワビやナマコを納入しているような場合には、届出をする必要があります。ただ念のため、都道府県に確認した方が良いと思います。

届出は電子申請(eMAFF)で行うことが原則です。

なお、行政書士が代理して届け出ることも認められています。お近くの行政書士に御確認ください

(2)仕入れ(受入れ)の際の取引記録の作成と保存

 アワビやナマコあるいはそれらの加工食品等を仕入れたり、漁業者等が持ち込んできたものを受入れる場合には、次の6つの事項を記録し、仕入れた時から3年間保存しなければなりません。

  1. 名称
  2. 重量又は数量
  3. 仕入た(受け入れた)年月日
  4. 仕入先あるいは持ち込んできた人の氏名又は名称
  5. 漁獲番号 又は 荷口番号 (注)
  6. 輸入又は養植物の場合は、その旨を記録

 こうした記録は、店舗ごと、またアワビとナマコを分けて整理して保存します。

 ただし、上記の6つのことが記録されている納品書等があれば、それを分類・整理し保存することで十分です(あらためて帳簿を作る必要はありません)。

なお、この受入記録の作成と保存は、消費者への販売がほとんどである飲食店や小売店等も行う必要があります。

(注)漁獲番号 と 荷口番号

 アワビやナマコを採る漁業者や加工事業者、流通事業者は都道府県知事や農林水産大臣に事業の届出をしています。その届出の際に各事業者ごとに7桁の番号が割り振られており、それを基に取引年月日と取引番号を加えて、16桁の取引番号を作り、取引の相手方に伝達します。

届出番号(7桁)+取引年月日(6桁)+取引番号(3桁) = 16桁の番号

※取引番号はナマコとアワビで分けて割り振る必要があります。

 こうして出来上がった番号には、漁業者と流通事業者等で名称に違いがあります。

漁業者・漁協 ⇒ 漁獲番号     加工事業者・流通事業者 ⇒ 荷口番号 

 つまり、漁獲番号や荷口番号のない取引により、アワビやナマコを仕入れたり受入れたりすることは法令に抵触する可能性があります。場合によっては50万円以下の罰金が科せられるかもしれません。

(特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律第16条第5号)

 漁獲番号や荷口番号を付けないで、他の事業者に販売したりする行為は密漁等に関係していることが疑われるので、こうした事業者が取引を持ち掛けてきた場合には、関係当局に通報した方が良いと思います。

(3)販売(引渡し)の際の情報の伝達と取引記録の作成と保存

アワビやナマコ、あるいはそれらの加工食品等を、他の事業者に販売または引き渡す場合には、相手先に情報の伝達と共に、取引記録の作成と保存が必要です。

消費者に販売する場合(飲食店や宿泊業が、客に食事として提供する場合も含みます)には、情報の伝達も取引記録の作成と保存も必要ありません。

1) 販売(引渡し)先への情報の伝達

他の事業者にアワビやナマコ等を販売(引き渡す)場合には、納品伝票等を利用して、次の情報を開いて事業者に伝達しなければなりません。

  • 名称(アワビ、ナマコ)
  • 漁獲番号又は荷口番号 ※注
  • 自社の名称(または屋号)
  • 販売(引渡し)した重量又は数量
  • 販売(引渡し)した年月日

2) 取引記録の作成と保存

他の事業者にアワビやナマコ等を販売(引渡し)した場合には、次の事項を記録します。

  • 名称(アワビ、ナマコ)
  • 漁獲番号又は荷口番号 ※注
  • 販売(引渡し)先の名称(または屋号)
  • 販売(引渡し)した重量又は数量
  • 販売(引渡し)した年月日

なお、販売先に渡した納品伝票等に相手先の名称が記載されていれば、この納品伝票の控を保存しておけば、この保存義務のある取引記録として利用できるかと思います。

※注 販売先に伝達する漁獲番号又は荷口番号

水産庁が令和4年5月に作成した「『特定水産動物等の国内流通適正化等に関する法律』に関するQ&A(案)」をみると、販売先に伝達する漁獲番号又は荷口番号には次の2つのパターンが有り得ます。

 ① 仕入先から伝達された漁獲番号または荷口番号を、そのまま販売先に渡す納品書に記載する。

 ② 自社に割り振られた事業者番号を利用して作成した荷口番号を、販売先に渡す納品書に記載する。

上の①②のどちらでもOKのようですが、注意しなければならないことがあります。

この法律の目的は、密漁や密輸されたアワビやナマコ、シラスウナギが流通しないように管理して、水産動植物の減少を防ぐことにあります。

そのため、「どこで採れたアワビやナマコが、どのような流通経路をたどって、消費者の手元に届いたのか」ということを、納品書や事業者の記録から追跡できるようにする必要があります。

事業者間で伝達する漁獲番号や荷口番号を②のように仕入先から伝達された番号Aと、販売先に伝達する番号Bが違う場合には、AとBの関連がわかるように取引記録を作成し保存しておかなければならないのです。

詳しくは、水産庁の ↓ のページを御覧ください。

水産流通適正化法に係る周知・普及啓発資料:水産庁 (maff.go.jp)

直売所アプリ ファームポスト

遅まきながらの話題かもしれません。

農水省が今日(令和4年6月23日)に発行した6次産業化・地産地消メールマガジン第187号で紹介されていたのですが、

直売所と消費者をつなぐ「ファームポスト」という直売所アプリがあるそうです。

詳しいことは、↓ をクリックしてファームポストのWebサイトをごらんいただきたいのですが、

ここでは私が「これ、いいかも」と思った点を御紹介します。

※ただし、この原稿を書いている時点で私はファームポストを利用しておりませんので、あくまでも直売アプリの概要を読んだ感想にすぎないこを予めお断りしておきます。

ファームポスト(Farm Post)は、直売所ファンのみなさんへ、全国の直売所から旬の情報をアナタにだけお届けします。 (farm-post.com)

「ファームポストはいいかも」と思った理由

インターネット上には、生産者と消費者を直接つなぐECサイトがいくつかあります。

私は生産者ではないので、想像で物を言って恐縮ですが、こうしたサイトを生産者が利用するメリットはもちろんありますが、デメリットもあると思うのです。

大きなところでは、「注文を受け、それに応じた出荷作業」でしょうか。

あと、もう1つはコストの管理もあるかもしれません。

もう1つ見逃せないデメリットは、インターネットあるいはスマートフォンを利用できない生産者は、はじめからECサイトのメリットを享受することから除外されること。

もちろん、周辺に協力してくれる方がいれば別でしょうけれど。

例えば高齢の生産者。

スマホを苦手にしている人が多いと思います。ですからECサイトを個人として利用することは難しいでしょう。

一方で、道の駅や直売所に農産物とか漬物などの食品を出荷して、それなりの人気を得ている方もいらっしゃいますよね。

このファームポストは、直売所が中心になって、生産者と消費者をつなぐことができるようです。

ということは、多くの高齢生産者のようにスマホが苦手な人であっても、ECサイトの魅力の1つである「全国の消費者とつながる」道がひらけるのではないでしょうか?

ファームポストの役割は、直売所への入荷情報を消費者に伝え、消費者の感想等を生産者に伝えることにあります。

つまり、ECサイトのように直接、注文を受け、料金のやり取りができるものではなさそうです。

この点は一見、ECサイトに比較してデメリットのようにも感じます。

でも、もし直売所がメールやネット上で消費者から注文を受け発送する仕組みを持っているならば、ECサイトのように個々の生産者が受注から発送するまでの手間が省けます。

直売所への入荷情報は、生産者がファームポストに投稿する方法の他に、直売所に備えてある専用のタブレットで投稿することもできます。

しかも、生産者の情報はバーコードで管理されているので、簡単に入力できそうです。

私のイメージとしては、「生産者が農産物などを直売所に持ち込み、直売所のスタッフに会員カードを示す。スタッフは会員カードにバーコードリーダーを当てて生産者情報をタブレットに自動入力。あとは、今日の入荷情報をタブレットに入力」するだけ。あとは、通常の直売所の利用方法と同じ!

これなら、高齢生産者にも受け入れやすいだろうし、販路も広がる!

私が「ファームポストは、いいかも」と思った理由はここにあります。

ファームポストの導入コスト

ファームポストは農水省のメルマガで紹介されていたとはいえ、運営しているのは民間企業です。

当然、無料ではありません。

料金はファームポストのサイトを御覧ください。

直売所アプリの概要を説明した資料も公表されています。

※ファームポストのWebサイトにある「資料をダウンロード」をクリック

お試し無料期間もあるようですが、その後は直売所は有料になります。

初期の導入コストについては、もしかすると自治体などの補助事業などもあるかもしれませんので、御確認下さい。