家族経営協定

家族が一丸となって農業に携わっている。そうした農業者は多いと思います。

2015年の農業センサスを見てみると、約137万の農業経営体中、約134万の経営体が家族経営で占めています。

※農業経営体:栽培耕地面積30a以上または農産物販売金額50万円以上

また、農産物の加工や直接販売を行う農業生産関連事業を行う家族経営の農家で、500万円以上の収入を得ているのが約4200経営体というデータもあります。

さらに、「経営者以外の者で経営方針の決定に関わる者がいない」という農家は、約53%。農業就業人口で65歳以上が占める割合が63.5%となっています。

これらを考え合わせると、

  • 経営者がケガや病気で入院するような事態になったとき、大きな問題なく農業を継続できるのか?
  • 農業の継承をどのように進めていくのか?
  • 収入を家族内でどのように分けるのか?

などといった課題が見えてくるような気がします。

実際には、それぞれの農家で暗黙の取り決めがあり、それで何等の問題もなく日々を過ごせれているのだろうと推察します。

ただ、家族経営体として認定農業者になるための申請を行う場合は、こうした取り決めを文書化することが求められます。

その、家族内での農業経営に関わる取り決めを文書化したものが、家族経営協定です。

家族経営協定の目的

※この項目のほとんどが私見です。

まず、人が生まれてから死ぬまでには、様々な段階があります。

 誕生 → 就学 → 卒業 → 就業 → 結婚 → 子育て 

    → 子供の独立 → 仕事からの引退 → 死亡

ここに、農業に携わる者としての段階が重なります。

 就農 → 成長 → 安定または拡大 → 後継者の育成 → 継承

人生の段階と、1農家として段階が絡み合い、そのそれぞれの場面で様々なリスクが発生します。そしてそれが、家族一人一人に別個に起き、その別個に起きた事柄が家族全体に降りかかるのです。

例えば、3世代の家族の段階を重ねたイメージ・・・

子供
就農
結婚
成長誕生
親から継承就学
安定または拡大就農
後継者の育成成長誕生
継承独立就学

そのリスクを経営主1人で乗り越えることは困難で、家族が協力してはじめて安定した農業経営ができるのだと思います。

言い換えれば、家族の構成員1人1人が、経営に関わり、経営主の意思決定を支える必要があります。

このことはまた、家族一人一人が自分の存在意義を実感しながら日々の業務に携わることにもつながるのではないでしょうか?

家族経営協定の中身

家族経営協定は、家族ごとに取り決める目的や内容は異なります。

一度決めた協定でも、年月と共に変える必要がでることもあると思います。

以下に検討項目を挙げますが、これは単なる例示だとお考えください。

検討項目

  • 営農計画
  • 役割分担
  • 労働時間・休日
  • 収益の分配または利用
  • 健康保険や年金、健康診断等の福利厚生
  • 家事や育児の分担
  • 資格、研修
  • 経営の承継計画
  • 相続への準備

JGAPと家族経営協定

JGAPでは、経営者の他に7つの項目の責任者を決める必要があります。(1人の人が兼任してもかまいません)

  1. 農場の責任者
  2. 商品管理の責任者
  3. 農産物取扱施設の管理責任者
  4. 肥料管理の責任者
  5. 農薬管理の責任者
  6. 労働安全の責任者
  7. 労務管理の責任者

GAPに取組んだ農場の感想として、「従業員の意識の変化」がとても多いのです。

家族経営体の場合、JGAPの認証を取らないにしても、上のような役割分担をすることで、意識の向上や、事業の継承への準備等としての効果が期待できるかと思います。

その他

家族経営協定は、家族で話し合って、全員が納得のいくように決めることが大切です。

でも、家族だけで話し合うと、上手くまとまらないこともあります。

農業普及指導員に相談する方も多いと思います。第三者が立ち会ったり、助言をもらうことも必要になるかもしれません。

当事務所では協定の文書化のお手伝いもいたしております。ぜひ御相談ください。